日本三大不動尊「木原不動尊」の隠れたパワースポット「奥の院」(熊本県熊本市)

木原不動尊奥の院2
山歩きに興味が出始めたころ、よく登っていた山があります。 熊本県の木原山(雁回山)です。体力の無い私にはちょうど良いと思われる位の高さで、登山入口から山頂までせいぜい30分位の距離。

この山の麓には、何百年も続いている古刹の寺院があります。日本三大不動尊の一つ「木原不動尊」です。
護摩木を読経とともに燃やし、おき火の上を修験者が素足で歩くという、火渡りが行われる春の大祭の時期にはかなりの参拝者で賑わいます。「木原不動尊」の「奥の院」がその山の山頂に建てられています。

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奥の院は麓の本殿とは違い、参拝される方もちらほらで、とても静か。
その静けさが気に入り、山頂まで登りきると、暫くこちらの御堂で休憩をしていました。
じんわりと汗を書いた身体に、木々を揺らしながら吹き込む風の心地よいこと。身も心も癒される時間です。

30分位で登れるという手軽さから、空き時間を見つけてはよく登っていました。

信仰の山は登らないと意味がない

山頂の「奥の院」までは車道が完備されており、最近はほとんど車で山頂まで行かれる方が多く、登山道を登っての参拝は少ないです。 そのため、夏になると登山道は草が生い茂り、生い茂った草を踏み分けながら前に進む格好となります。

何故そこまでして登山道を登るかと思われるかもしれませんが、 実はこの木原山、山頂に「奥の院」があるのもうなずける位、たくさんの神様がいらっしゃるのです。
山道を登る間にその神様達にいろいろ教えていただいたり、登りながら願い事を唱えると聞いていただけるんです。

神様たちがおっしゃるには、実は、山頂の建物や仏像が神様なのではなく、山自体が神だから、山頂まで一気に車で行っても意味がない 。山の中に分け入って神様の息吹に触れて初めて色々な御利益もある。ということだそうです。

で、願い事をする、すると叶う。願いが叶ったらお礼参りでまた登る。人間どうしても欲があるので、お礼参りのつもりがまた別の願いを何気に頼んでたりする。するとまた叶う。でまたお礼参り。こうなるとエンドレスになっちゃいます。(笑)そういうこともあって、季節も関係なく登ってました。まっ、身体にも健康になるし、願い事は叶うし、一石二鳥ですしね。

しかしそんなある時、私の山歩きを知った知人が、 「夏の時期、草が道を覆っている時は山道を登るのは止めた方がよい。」「まむしが出る」と言うのです。
山歩きの素人である私は、びっくり。蛇嫌いのくせにそんなこと考えてもいませんでした。 知らないというのは恐ろしいことです。それまで平気で登っていたのに、急に足を踏み込めなくなっちゃいます。
そこで、草が生い茂る夏の時期は、登るのを我慢することにしました。

やっと朝晩が冷え込むようになった9月の初め、もういいかなと考えて、久しぶりに木原不動尊へ。

木原不動尊本堂
まずは、麓の寺院に参拝を済ませ、寺院の境内の観音堂にお参りしようと足を向けました。

すると観音堂には先客がいらっしゃいました。こちらが「観音堂」です。

木原不動尊 観音堂 <スポンサードリンク>

おばあさんとの出会い

その時は、一人のおばあさんが手を合わせてお参りされていました。 邪魔をしないように後ろで控えておりますと、手を合わせているおばあさんの横に観音様の姿が。こちらのおばあさん、よほど深く信心されているのだろうなと感心して見ていると、後ろで待っている私に気が付かれた様子で、あわてて頭をさげて横へ移られました。
私も軽く会釈をして観音堂にお参りをさせていただきました。

観音堂の前で手を合わせますと、すぐに先ほどの観音様が出てこられて、おばあさんの話を始められました。

先ほどのおばあさんは若い時からとても信心深くて、山頂の「奥の院」も毎年のように登って参拝されていたそうなのですが、今年になって足が悪くなり、今回は登ることが出来ないでいるとのこと。そのため、そのおばあさんの分も今回は一緒に登ってほしいと。
別段おばあさんを背負って登るわけでもなく、ただ一緒に登っているつもりでだったら全く構わないので、「いいですよ」と快く引き受けました。

それだけだったらよかったのですが、観音様はそのためにおばあさんの名前と住所と年齢をちゃんと私が聞くようにと言うのです。
「えっ?なぜ?神様はちゃんと名前も分かってるんでしょ。なぜ今さら聞く必要があるの?」
観音様が言われるには、本人が私に頼んだという認識がないとダメだからだそう。それに私自身もちゃんとだれから頼まれたか知っていなければならないらしい。
しかし、いくらなんでも突然見ず知らずの私がそんなことを言ったら、怪しまれるのは間違いない。 ただ黙って山を登るのはいいけれど、それはお断りします。そう観音様には断って、おばあさんの方を振り返ると、先ほどのおばあさん、「奥の院」の山の方向に向かって手を合わせて拝んでいらっしゃいます。

すると今度は、観音様どころか不動明王まで現れて私に頼まれます。 観音様に不動明王まで頼みに来られるなんて、このおばあさんは何者?

観音様はまだしも不動明王にまで頼まれたものの、さすがに見ず知らずの人間からそんなこと言われたら、どう考えても怪しまれるのは間違いない。変な宗教か怪しい商売かと思われちゃう。それにこのおばあさん、今年になって足を悪くされていると観音様は言われたが、そんなに足が悪そうには見えない。
しかし一生懸命「奥の院」の方角に向かって手を合わせておられる姿を見てると、どうしても言わずにいられなくなり、勇気を出して話しかけました。

「すみません。足がお悪いのですか」
「えっ?」
突然の私の話しかけに当然のことながら驚かれました。

「変に思われるかもしれませんが、先ほど貴方の横に観音様が立たれまして、私に貴方の代わりに山に登ってほしいと頼まれました」
完全におばあさんは怪しい人を見る目で私を見て、明らかに返答に困っている様子。しかし、ここまで言ったらどうとでもなれと、観音様から聞いた話を一気に話し始めました。
話し終わって最後に
「でも見たところ足はとくに悪くなられているように感じませんので、間違っていましたら申し訳ございません」

そう言うと、それまで戸惑ったような表情だったおばあさんが
「見ず知らずの方ですが、確かに私は十代のころからこちらの寺院には欠かさずお参りをし、「奥の院」にも年に何回も登っておりました。しかし、今年になって足が悪くなり、日常生活には支障はありませんが、山登りはさすがに無理な状態になっております。」
そして、「ほんとうに観音様が言われたのですか?」おばあさんはそう念を押すように聞かれました。
「そうですよ。」と私が答えると、急に激しい口調で「そんなはずはありません!観音様は私を見捨てられたのです!観音様がそんなこと言われるはずはない。」 吐き出すようにそう言われました。

「観音様が私をほんとうに守ってくださっていたらこんな事になるはずがない」
そう言いながらおばあさんが視線を向けた方向には、40代と思える女性が離れたところでこちらに背中を向けてうつむいていました。

「あの娘が子供を連れて家に戻ってきてから、うちは不幸続きなんです。」
おばあさんの娘と思われるその女性は、離れた場所で背を向けて、苦しそうに小さくうつむいています。

「私は十代の頃からこのお寺に通い、事あるごとにお布施を包んでいました。このお寺が台風の被害を受けて屋根を普請した時など、それなりの寄付もさせていただきましたし、お山(奥の院)にも度々通い、「奥の院」を建てる時もちゃんとそれなりさせていただきました。私はずっと、仏さまの御姿は見えないけれど、ちゃんと守ってくださっていると信じていたんですよ。それなのにどうして。」
おばあさんはせきを切ったように話し始められました。

「娘が家に出戻ってからというものの、突然、主人は生きるか死ぬかの病気を患い、その治療代で出費がかさみ、その上に、この娘の子供まで大学に行くと言って聞かず。あの娘のせいで、あの娘が帰ってきてから・・・もう家には全くお金がなくなってしまったんですよ。今日も娘がここまで連れては来てくれたけど、お賽銭すらない始末。本堂に上がってお参りするにも包むお布施がないんです。ほんとうに観音様がついてくれていたなら、こんなひどい目にあうはずがない!」
おばあさんのその言葉に娘さんの背中が小さく震えていました。

観音様はとても悲しそうな表情でおばあさんの話を聞いておられました。
そして、観音様は私を通しておばあさんに話かけられました。

「私はいつもそばにいました。娘時代からあなたが一生懸命信心して手を合わせている姿をずっと見てまいりました。」

「じゃどうしてこんな目に遭わせるのですか。私が何か悪いことをしたのですか。」

「いいえ、あなたは人に嘘をつくことも無く、真面目に本当に真面目に生きてこられました。」

「じゃあ、どうしてですか。神様は真面目な人間をいじめるのですか。」
おばあさんは目にうっすら涙をにじませながら、我慢できずに強い口調で投げ捨てるように言われます。

「あなたは何も悪いことをしてはいません。そればかりか、いつも人のことを先に考えて自分を後回しにしていました。私はずっとそれも見てきました。」

「じゃあどうして・・・・」
おばあさんは、もう何も分からないという感じで言葉を失くされました。

「あなたが望んだのですよ。」

その言葉におばあさんは再び怒りの表情で
「なにを言われるんですか!この娘のことにしても、主人の病気にしても私が望むはずないじゃないですか!」

「娘さんの結婚相手はかなり始末のおえない人で、そのことに気が付いたあなたは離婚するように再三娘さんに言われていましたよね。
しかし、自分が我慢すればよい。子供を父親のいない子にしたくないと、頑固に離婚を考えていなかった娘さんが、それでもやっと離婚を決意したとき、すんなり相手は判を押してくれたでしょ。」

「そう言われたらその時不思議に思いました。絶対相手はごねると覚悟していたのに。」

「あのまま無理して結婚生活を続けていたら、経済が苦しくなるどこかもっと悲惨な目に遭っていたはずです。」

「では観音様が・・・・そうだったのですか?」

「ご主人の病気にしても、娘さんのせいでも、ましてやご主人やあなたのせいでもありません。酷な言い方かもしれませんが、病気はなるべくしてなったのです。
余命宣告までされたご主人を助けたくて、あなたは色々な手を尽くされました。
その時はご主人の命が救われるなら、お金は惜しくない。そんな気持ちになっておられました。
今は、以前のように畑仕事は無理がありますが、命は助かりましたよね。」

「えっ、では主人の命も観音様が助けてくださったのですか。」

「娘さんが連れてきた子供もとても賢い子で、その子は将来あなた方にたくさんの恩を返してくれますよ。とても良い子だとはあなたも分かっているはずですよ。
どんなにお金を払っても、ご主人の命を買うことはできませんし、ましてやあんな頭の良い子は授かりませんよ。」

おばあさんは言葉を失われた。

「私はあなたにとっていつも最善の手助けをしてまいりました。しかし、あなたは起きたことを悪い方に、悪い方にと考えて、どんどん自分を苦しめていました。
私はあなたの考え方を無理に変えることはできません。ただただ、あなたが気がついてくれることを願っておりました。」

「言われてみれば確かにそうです。」
おばあさんは涙を流しながらそう言うと、離れて場所にいる娘さんのそばに駆け寄り
「ごめんね。ごめんね。おまえのせいではないのに、・・・・・」その言葉にせきを切ったかのように娘さんも泣き崩れました。

「ごねんね。ごめんね。おまえには辛い思いをさせてしまったね。」おばあさんは娘さんを抱きしめて何回も何回も謝っておられました。
そして、「考えたら、主人も生きておりますし、お金が無いと言っても畑があります。贅沢はできませんが生きてはいけています。お話をうかがう前までの私は神様の存在を疑い、自分の不幸ばかり考えておりました。お話を聞いた今は、天国とまでは言いえませんが、先に光が見えてきました。」

そう言うとおばあさんは、「気付くことができたお礼に、本堂に上がって観音様にお礼を申し上げたいのですが、なにぶんご住職にお払いするお布施がありません。ここから手を合わせるだけでよろしいでしょうか。」

すると再び観音様は、「私たちはご飯を食べませんよ。ですから私たちにお金を払う必要はまったくありません。しかし、私たちの世話をしている方々は人間ですからご飯を食べないと死んでしまいます。もしあなた方にお金に余裕のあるときは、その時はどうぞ気持ちを包んでください。それでいいのですよ。」そうおっしゃいました。
おばあさんと娘さんは申し訳ないと、二人並んで本堂の方向に手を合わされていました。

その後おばあさんの名前と住所、それに年齢を教えていただき、手帳に書き移し別れようとすると、
「ちょっと待ってください。お山(奥の院)に登っていただくのに、お賽銭が一円も無いとはあんまりなので、もう一度財布を見てみます。十円玉一枚位は入っているかもしれません。」そう言って急いで財布を調べていらっしゃいました。
すると、「信じられません。百円玉が二枚入っています。こんなはずありません。さっき探した時は間違いなく無かったはず。百円玉一枚すらもう私には無いと、そう思って沈んでいたのですから。」

そこで、「先ほど観音様が言われたように、神様は何も食べないからお金は必要ないと。たぶんお二人に何か食べなさいと出してくださったのだと思いますよ。ありがたく受け取られたらいかがですか。」そう伝えました。

「いいえ。それならなおさらこの二百円を受け取るわけにはいきません。どうぞ持っていってください。ここまでしていただいたら、これだけで私達親娘はもう二度と神様を疑うことはありません。どうぞ持っていってください。お願いします。」そう言って泣きながら私の手に百円玉二枚をしっかり渡されます。
それを見て観音様も一緒に泣いていらっしゃいました。

そこまで言われて受け取らないわけにはいかず、受け取った二百円は、大切に胸ポケットに入れ、お二人がこちらに向かって手を合わせていらっしゃるのを背中に感じながら、登山口へと向かって歩き出しました。
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「奥の院」への登山

木原不動尊の奥の院の登山口へ行くためには、まず最初に六殿宮へ行きます。木原不動尊から少し奥へ行ったところにあります。

木原不動尊六殿宮
六殿宮から雁回山への登山道を進んでゆきます。途中、雁回山山頂へ向かう方向と、木原不動尊奥の院へ向かう方向を示した標識があります。

木原不動尊奥の院標識
ここから右方向へ進みます。ここからが奥の院へ登る道となります。

しかし、登山口に着いた私は驚いてしまいました。
もう大丈夫だろうと思っていたのに、なんと登山道を見てみると、草がぼうぼうと生い茂っています。
知らないときは平気で登っていたのに、さすがにマムシが出ると聞いているため、しばらく呆然と立ち尽くしてしまいました。

しかし、ここで引き返すわけにはいきません。ここで引き返したら今までの会話が・・・・
お二人の思いのこもった胸ポケットの二百円が重い。これを「奥の院」へ届けないわけにはいかない。

じばらく躊躇していたものの・・・えーーーい!!
神様が守っている。大丈夫。無理やりそう自分に言い聞かせて、茂った草を踏みしめて歩き出しました。

一歩、一歩、気持ちではおばあさんを背負っているつもりで、また一歩、また一歩と歩きました。しばらく進むと道は藪のようになり、木々の隙間はクモの巣だらけです。登山道の前方に次々とクモが巣を張り巡らしています。真っ黒な体にオレンジの筋が入った大きなクモが何匹も見えます。
たぶん間違いなくいつもならここで引き返します。 しかし、今回はさすがに胸ポケットの二百円を思うと引き返せません。
・・・・・・・・・・・・
「たかがクモ。かみつきはしない!!」
そう言ってまた前進しました。

しかしやっぱり嫌なものは嫌なんで、出来るだけクモの巣に引っかからないように、身をかがめたり、下の方のクモの巣は何本かの糸を切ったりしながら進みました。
そうこうして進んでいると、何やら道脇の草むらから、ザワザワ音がします。 一瞬私の身体は固まりました。

「まさか、まむし? 」

まったく動けなくなりました。
・・・・・・・・・・・

そして、しばらくすると、固まった私の前を大きな蛇が横切って行きました。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
もう無理です。

「もういいよね。引き返してもいいよね。」自分で自分に言い訳をします。
「だってここまでは来たんだから。こんなところで無理してマムシにかまれて大変なことになったら、それこそ馬鹿だと言われる。 」

「いいよね。もう引き返してもいいよね。」
そう言いながらも引き返すことが出来ずにいました。
・・・・・・・・・・・・・・

しばらくその場所で動けなくなり、どうしようと考えました。しかし、あのお二人のことを考えたら、どうしても引き返すことができません。
行くことも帰ることもできずに、暫く固まったままでした。しかし、もう近くの草むらからは何の音も聞こえません。

「大丈夫!」ほとんど自分に言い聞かせるように再び前に進み出しました。

その後しばらくは何事もなく進み、もうあと一息のところとなりました。

しかし、最後の最後に突然、頭上からムカデがボトッとと落ちてきました。
「ぎゃーーーーーーー!!!!!」
もう残りの道は必死に、それこそ死に物狂いで走りだしていました。
山頂に着いた時は身も心もボロボロ。

ゼェゼェ息をきらせながら、お賽銭をお賽銭箱に投げ入れ、「やっと辿り着きました」と奥の院の前で手を合わせて報告。
その後、おばあさんから預かった二百円を仏さまの前に直接置こうと、靴を脱いで上がらせていただきました。

大きな仏像の前に座り、お預かりした二百円を前に置き、おばあさんの分と私の分、各々にろうそくと線香を灯し、手を合せました。
すると、突然目の前の大きな仏像から涙が。
「私は今までいろんな方のお布施を頂いてきましたが、今回のお布施が一番高額です。」
そう言って泣かれるのです。
私も一緒にオイオイ泣きました。多分一気に緊張がほどけたせいでしょうね。
誰もいないからではありますが、後から思うと変な光景だったと思います。

その後、誰もいない無人の御堂ですから、ろうそくを消して帰ろうとしましたら、
「疲れたでしょうから、しばらく横になってから帰りなさい。」と言われました。確かにそうだと思い、その場に横になりました。
よっぽど緊張と疲れがたまっていたのでしょう、まるで気を失うかのようにそのまま眠りこんでしまいました。

帰り道の不思議

どれくらい眠っていたのか、気がつくと、ちょうど灯した二本のろうそくが燃え尽きるところでした。
私の分はともかく、おばあさんのろうそくを灯しきることができてよかった、とそう思いながら、帰るためにお堂の上り口で靴を履き始めました。

しかし、靴紐を結びながら、だんだん気持ちが沈んでゆきます。よくよく考えたら、あの道を今度は帰らなければならないのです。
さすがに行きはまだおばあさんのためという意気込みがありました。それにへびどころかクモやムカデまでいるなんて思いもしなかった。 あんな状態だと知って戻るのは勇気が要ります。

そこで、自宅にいる主人に電話して山頂の「奥の院」まで車で迎えにきてもらおうと思いつきました。 自宅からここまで車でも一時間以上は有にかかります。主人はあきれるでしょうが、頼んでみよう。そう考えてリュックの中から、携帯電話を取り出しました。
すると、電話を取り出すと同時に着信音が鳴り出しました。話の内容は急を要するものでした。 主人の迎えを待っている時間がありません。
「しょうがない!」思い切って立ちあがり、下りの道を歩き出しました。
すると、信じられないことに、まずあれほどたくさんあった、クモの巣がまったく見当たらないのです。 その上、草の茂みも心なしか少なくなっているような感じです。
そして、案の定ヘビにもムカデにも遭遇することなく山を降りました。

まったくキツネにつままれたようとはこのことです。 あまりの不思議さにどういうことだろうと考えました。
もしかしたら、私が他人のためにどれだけ勇気をもって行動できるか、それを試されたのかもしれません。 あのおばあさんと娘さんが実は観音様だったのかもしれませんね。



木原不動尊アクセス情報

熊本県熊本市富合町木原2040



駐車場  有り  無料

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